人気アニメーション制作会社「P.A.WORKS」の魅力に迫る

アニメーション制作会社 P.A.WORKS の魅力に迫る

日本にとってアニメとは切り離すことのできない文化の一つである。そのジャンルは多岐にわたり、人によっては好みも分かれることだろう。日本のアニメーション製作技術は世界にも認められ、中には熱狂的ファンも多いと聞く。

中でも国内で屈指の技術力と人気を誇るアニメーション制作会社、P.A.WORKSの作るアニメ作品は国内はもちろん海外のアニメファンの間でも熱狂的な支持を集めている。

人々にとってP.A.WORKSの作るアニメ作品の魅力とは一体なんなのか。今回の記事では、人気アニメーション制作会社P.A.WORKSの魅力、P.A.WORKSの作るアニメの魅力について解説する。

P.A.WORKSの成り立ち

P.A.WORKSの原点

国内はもちろん、海外のアニメファンの間でも知名度が高まっているアニメーション制作会社、P.A.WORKS。この会社の原点はタツノコプロ、Production I.Gに在籍しプロデューサーを務めた堀川憲司氏により2000年11月に富山県東礪波郡城端町にて設立された「越中動画本舗株式会社」(えっちゅうどうがほんぽ)である。

堀川氏が富山へ帰る際、地元にアニメ制作会社が見つからなかったため自らスタジオを立ち上げたことがきっかけとなっており、その後、2002年1月に現在の商号である株式会社ピーエーワークスへと変更されている。

始まりは社員2名の小さな会社

当時の社員は、堀川憲司氏(現代表取締役)、吉原正行氏(現作画部長)のわずか2名、職場は仕出し屋の2階の宴会場からのスタートだったという。

その後、2008年には初の元請作品「true tears」を製作、2016年には東海北陸自動車道城端サービスエリアに隣接する桜ヶ池ハイウェイオアシス内の南砺市が提供する企業誘致用地に移転し、念願だった新本社スタジオが完成した。

参照:P.A.WORKS公式サイト

ちなみに、P.A.WORKSとは「Progressive Animation Works」の略で、直訳すると「革新的なアニメーション作品」である。

制作に関わった作品

攻殻機動隊と鋼の錬金術師

設立当初グロス請けとしてP.A.WORKSが制作に関わった代表的な作品として、「攻殻機動隊」や「鋼の錬金術師」があげられる。どちらも2000年代に人気を博し、今も根強いファンがいることで知られている。鋼の錬金術師は映画、攻殻機動隊はセカンドシーズンの制作にも携わっている。

鋼の錬金術師は錬金術師たちの戦闘シーンが、攻殻機動隊はサイボーグやアンドロイドたちのバトルシーンが多く、どちらも激しい動きや独特の世界観があり、アニメ前からのファンも納得するような作品にするのは容易ではなかったはずだ。設立してすぐにこのような大きな作品に関われているのは賞賛に値することだろう。

この他にもツバサクロニクルやIGPXといった作品にも関わっている。特にIGPXは日本とアメリカの共同作品となっていて、まさに日本と世界をつなぐ橋のような存在だといえる。

このころに関わった作品の共通点として、どの作品にも深い世界観があり、そのどれもに興趣が尽きないことがいえるだろう。

グロス請けとは
日本のテレビアニメシリーズで採用されている制作システムで、下請けの1つ。

ゲーム レイトン教授シリーズ

レイトン教授と何々。このような並びを聞いたことがあるという人は多いだろう。子供向けゲーム作品で、レイトン教授とその弟子ルークが街で起こる難事件を次々に推理して事件を解決するナゾトキゲームだ。

子供向けとは言っても、そのファン層は厚い。昔プレイしてから好きになり、新作が出るたびにプレイするファンも少なくない。P.A.WORKSはそんなレイトン教授シリーズのアニメーションパートを担当している。

ゲームのアニメーションパートといえば、どのような印象があるだろうか。ゲームの画面は小さく、また限られたドット数で表現しなければならないという面もある。

限られた画面の中で、いかにキャラクターを目立たせるか。いかにストーリーを頭の中に入れることができるかが重要になってくるため、印象に残るアニメーションを作るために角度やタイミングを計算しなければならないのは大変なことだ。

だがそれをやってのけ、人々を感動の渦に巻き込み、さらには見事事件を解決にもっていくのがP.A.WORKSの憎いところだ。ちなみにレイトン教授は映画にもなっているので、ゲームのアニメーションとの違い、表現の差を見比べるのもおもしろいだろう。

レイトン教授シリーズとは
レベルファイブから発売されているニンテンドーDSおよびニンテンドー3DS用アドベンチャーゲームシリーズ、およびそれを主軸としたメディアミックス作品のシリーズ。

北陸青春3部作とお仕事シリーズ

北陸青春3部作

北陸青春3部作とは、富山県を舞台にした「true tears」、石川県を舞台とした「花咲くいろは」、福井県を舞台とした「グラスリップ」のことを指す。

中でもtrue tearsはP.A.WORKSにとって初めての元請作品となり、作品の人気も相まってアニメーション制作会社としてP.A.WORKSの名を一躍有名に押し上げることとなった作品でもある。

お仕事シリーズ

お仕事シリーズとは、第一弾の「花咲くいろは」に次ぎ、第二弾の「SHIROBAKO」、第三弾の「サクラクエスト」のことを指す。

花咲くいろはは老舗温泉旅館、SHIROBAKOは東京のアニメーションスタジオ、サクラクエストは富山県の架空の自治体である間野山市がそれぞれ舞台となっている。

このことから働く人を応援する意味でお仕事シリーズもしくは働く女の子シリーズと呼ばれ、働くことや生きることとは何か、その大切さを改めて感じさせるような心温まる作品となっている。

お仕事シリーズはP.A.WORKSが原作を手掛けるオリジナル作品で、中でもSHIROBAKOは最も知名度が高いのではないだろうか。なぜならアニメ作品には珍しく、アニメーション制作現場そのものを題材としているためだ。

この強いインパクトは数多くのアニメ好きの耳に止まっただろう。アニメ制作に携わる主人公の周りで起きるリアルな人間模様。どういう流れでアニメが作られるのか、その流れの中で起こる苦悩や葛藤が架空の舞台ながら現実味のある表現として見ているものの心をぐっと掴む。

お仕事シリーズは社会人の立場になり、働くことの大変さや難しさを主人公たちが乗り越えていくことで、自分を奮い立たせるきっかけになるような作品だ。リアルな表現で、それでも生きていくことを諦めない前向きなメッセージを伝えてくれる。

笑いあり、涙あり、有頂天家族

P.A.WORKSの作品の一つ、「有頂天家族」はセカンドシーズンまで続く人気作品だ。元々小説として刊行されていたものを、P.A.WORKSがアニメ化に踏み切った。

下鴨神社を舞台として、笑いあり涙あり恋愛ありと、主人公たち下鴨一家が織りなす物語は忙しくもどこか儚い。人間と狸、天狗などが京都の街をおもしろおかしく飛び回る。おもしろくないことをおもしろく、”阿呆の血のしからしむるところ”といった言葉は作品中幾度となくでてくる。ルールに縛られすぎた世の中を皮肉するような表現は、ついくすっと笑ってしまうだろう。

この作品のおもしろいところは、日本を舞台としながらどこか浮世離れした世界観であることだ。これは攻殻機動隊やお仕事シリーズとは違うジャンルが主体となっているからである。コメディとファンタジーが組み合わさり、昨今あまり見られない新感覚を味わえる。

コミカルなキャラクターたちももちろん見逃せない。いわゆる「萌え」を意識したデザインではなく、あくまでも人間味を大切にした描かれ方を意識している。表情がころころ変わるさまは、見ているものを飽きさせない。
生きとし生けるもの、命を大切に。そんな強いメッセージ性を発し、文化的側面も見せてくれる。だがやはりついつい笑顔が溢れる作品なのだ。

地域との密接なつながり

P.A.WORKSは富山観光アニメプロジェクトにも関わっている。富山のクリエイターと力を合わせ、富山三大ブランドのアニメ化に成功した。この他にも地元若手音楽チームとも協力し、富山の魅力を日本のみならず海外にも広めている。また、とやま県民家庭の日アニメーション化プロジェクトにも携わるなど、地元富山との関係性も深い。

「泣かせる空に会いたい」は、富山だけでなく中国全土に放映されているというから驚きだ。P.A.WORKSが描く富山の姿は、見たものが足を運びたくなるような自然美が表されている。観光客誘致を目的としているが、この映像は地元民やP.A.WORKS作品のファンも唸るものがある。

また、富山のプロジェクトだけでなく、若手アニメーター育成プロジェクトにも参加している。「万能野菜ニンニンマン」という作品で、監督が長年構想を練った家族向けハートフルアニメだ。自分の苦手なことも表現できるのがアニメ。そういったメッセージを作品を通じて若手アニメーターたちに教える機会になった。これからのアニメーションの未来を担うアニメーターが、自分が伝えたい、表現したいアニメはこうなんだと作品にぶつけたプロジェクトだ。

このように、P.A.WORKSは社会的、文化的アニメーションの制作を手掛け、我々にアニメの魅力と共にその側面を考えさせてくれる。

おわりに

アニメ作品は年々増え続けている。需要がある限りそれは当たり前のことで、作れば作るだけその数は増加していく。現代の若者でアニメを1度としてみたことがないという人はきっと1人としていないのではないだろうか。その中で作品を愛してくれるファンがどのくらいつくのか、アニメ業界は暗然としているかもしれない。

アニメーション制作の現場は人々が思っている以上に過酷だ。業界を取り巻く環境が大きく変わっていく中、より良いアニメーションを作り続けるために何をするべきなのか、より良い事業構造にしていくには何が必要なのか。そうした業界全体で立ち向かわなくてはならない問題に、逃げることなく真正面から立ち向かい、戦っているのがP.A.WORKSの現在の姿なのだ。

中には実情を知らずにブラックだと心もとない言葉をかけるものがいるかもしれない。それでも、、P.A.WORKSなら荒れ狂う荒波の中、必死にもがいて、たとえ鈍足であったとしても、一歩ずつ確実に前進してくれると僕は信じている。

子どものとき、我々は何を見たか。そこから何を学んだか。P.A.WORKSのアニメを見て昔を思い出した人は、今一度考えてみてほしい。生きるとは、働くとはどういうことなのかを。

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